キャンプ場のシャワー室にシャンプーがなかった時の対処方法
子供の「生きる力」に感動をおぼえたことがある。
キャンプ場のシャワー室に、シャンプーもボディソープもなかった時の話だ。
うちの長男(当時小4)の「生きる力」が、このピンチを救ってくれた。
家族でキャンプへ行ったとき、夕方、妻が発熱してしまった。
わりと近場だったのと、妻もそこまで体調が悪くなかったので、妻だけが自力で車を運転して帰宅することになった。
私と当時幼かった息子2人の計3人の男だけがキャンプ場に残り、テント泊をするのだ。
妻には申し訳なかったが、アクシデントが大好物な私は、この状況を密かに楽しんでいた。
キャンプ場での夕食を終え、シャワーを浴びて寝ることになった。
別にシャワーなんて浴びなくてもよかったのだが、どうせやることもないし、何事も経験と思い、事前にトイレを済ませたあと、キャンプ場のシャワー室へ向かった。
脱衣場で全裸になり、狭いシャワー室に3人一緒に入った。
この非日常の経験に大喜びの息子たち。
お前たち、この状況を楽しめるとは、なかなかスジがいいぞ。
さて、お湯も浴びたので体を洗おうと思ったが、シャワー室にはシャンプーもボディソープも置いてなかった。
ここはキャンプ場であってスーパー銭湯じゃない。
そのようなアメニティはあるはずがないのだが、危機管理能力に乏しい私には、それを予測できなかったのだ。
母がいないと子どもの清潔を維持することすらできない、ダメな父親で申し訳ない。
その時、長男(当時小4)が突然シャワー室を飛び出した。
もちろん全裸だ。
どこに行くのかわからないが、まさか私が全裸で追いかけたら事件性を帯びてしまうので、次男とシャワー室で待つことにした。
1分後、長男が満面の笑みでシャワー室に戻ってきた。
石鹸を手に持って。
長男 「トイレに行ったとき、手洗いに石鹸があったのを思い出したんだ!」
長男 「この石鹸で体を洗えばいい!」
次男 「兄ちゃん、すごい!」
きょうだい 「ブクブク、ゴシゴシ…」
私は感動した。
子どもの「生きる力」が、このピンチを救ってくれたのだ。
レモン石鹸の匂いを振りまきながら、私たち3人は今夜眠るテントへ戻った。
眠る前に私は思った。
「妻への最高の土産話ができた」と。